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実績紹介

WEB3やDAOで、私たちの働き方はどう変わるか

 

Web1.0→Web3とは
 Web2.0の課題
 DAOがよくわからない理由1:スマコン
 DAOがよくわからない理由2:トークン
 DAOがよくわからない理由3:仕組みと思想
 DAOって要するにナニ?
web 3やDAOで私たちの働き方はどう変わるのか
 Web3はWeb2に取って代わるものではなくオルタナティブなもの
  主体的(自己責任)でいなければいけない例)Axie Infinity
 DAOを実験的に使う=社内の有志活動
Web3が完全正解ではないがDAOが与えるインパクトに着目しよう
 DAOで株主・経営者・従業員の構図が崩れる
 Web3が完全なる正解ではない
参加者からのアンケート結果
まとめ

2022年8月23日(火)、株式会社 働きごこち研究所と株式会社 文殊の知恵の共同開催によるオンラインセミナーを開催いたしました。ゴルフ活動家/文殊の知恵 大矢隆司と、文殊の知恵/働きごこち研究所 代表取締役の藤野貴教が登壇して語ったのは、今回のテーマ【Web3やDAOで、私たちの働き方はどう変わるか】についてです。
近年、よく耳にするようになったWeb3やDAOですが、その重要性や活用方法など、正直よくわかっていない人が多いのではないでしょうか。
今回は、Web3やDAOの面白さや可能性、実際にDAOを作ってみてわかったことなどについて解説し、DAOへの参加で私たちの働き方はどう変化するかについて紹介していきます!

WEB1.0→WEB3とは

Web発展の概念は様々あり、皆さんも一度はその違いを目にしたことがあるかもしれません。
具体的には

  • Web1:一方向概念/発信・閲覧/ウェブサイト・ブログ・検索サービス/HTML
  • Web2:双方向概念/共有・共感/SNS・動画共有サイト・スマホアプリ/ブロードバンド
  • Web3:分散型自立概念/所有・貢献/仮想通貨・NFT・メタバース・X2E/ブロックチェーン

このような中身がわかっていても、「そもそもなぜ稼げるのか」「なぜトークンに価値がつくのか」などの素朴な疑問をもつ人は多いでしょう。次の項目では、その疑問について解説していきます。

WEB2.0の課題

Web3の画面を使用する際は全てウォレット認証なので、IDやパスワードは使わず、氏名やメールアドレス、電話番号などの個人情報を入れることもありません。

Web2の例でいうと、YouTubeのクリエイターはユーザーIDで全てGoogleに管理されており、そこにはユーザー情報である氏名・メールアドレス・生年月日・住所が紐づいています。また、その人が上げた動画にもユーザーIDがついていて、動画とユーザーも紐づいています。
そして、そこに別のユーザーIDを持った誰かが動画を見に来ると、「ユーザーID ☓☓☓☓-☓☓☓☓-☓☓☓☓、この人の連絡先は○○で住んでいる場所は○○で、○○に興味がある人だ」ということがわかるのです。すると、Googleはここで得た情報を使ってこのユーザーに対して広告を出し、その広告で収益を得ることができます。
つまり、Web2.0には2つの課題があるのです。

  1. 「プライバシーの問題」
    個人の属性や行動(興味・関心)のデータを解析することで、消費者の行動や心理が企業(一部のゲートキーパー)によって商品化されています。
  2. 「著作権/所有権の問題」
    個人が創造したコンテンツ(文章・写真・音楽・映像)が投稿先の企業によって管理され、個人の意思と関係なく販売、削除されています。

これらは全て、「ユーザーIDに個人情報が紐づいている」ことが問題です。一方のWeb3では、ウォレットやトークンを通じてデータの中でやり取りを行うことでWeb2のもつ問題を払拭しています。

DAOがよくわからない理由1:スマコン

DAOを理解するために必要なスマートコントラクト(スマコン)について詳しく解説します。

今までの契約では、「契約をする→契約書(コントラクトペーパー)を交わす→契約を承認する→執行」の流れで契約を承認・実行する人が必要でしたが、スマコンの場合は、「契約→スマートコントラクト→執行」の流れで執行までが全て機械化されています。
このスマートコントラクトを使うことで、Googleなどのゲートキーパーを介さずに「誰かが誰かにお金を送る」などの行動を直接やり取りできるようになるのです。

DAOがよくわからない理由2:トークン

「なぜトークンに価値が出るのか」「なぜその値がついているのか」という疑問をもつ人も多いでしょう。

日本では「円」という紙幣を刷っていますが、トークンも同じく「通貨」だと捉えてください。このトークンは、サービスを使う人たち(コントリビューター)に使われていますが、そのトークンに価値をもたせるためにはDAOに価値がある必要があります。
例えば、他国の人たちが日本から何かを買いたい場合は「円」がないと買えませんが、こうなることで「円」には価値が発生します。このように、「そのコンテンツの中のユーザー=トークンを利用したい人たち」が増えれば増えるほど市場での流通価値が上がるので、トークンの価値が上がります。

DAOがよくわからない理由3:仕組みと思想

現在、2種類のDAOが存在しています。

  1. 原理主義DAO(仕組み重視)
    • スマコンで人が介在しないものがDAO
    • 管理者がいる時点で中央集権
  2. 自由主義DAO(思想重視)
    • スマコンじゃなくてもいい
    • みんなの投稿で合意形成する
    • 貢献したステークホルダーにトークンが還元できる

実は今、1つのDAOの中で2種類のDAOが混在している状況が多くあり、「どちらをDAOとするのか」という不毛な議論が交わされています。

DAOって要するにナニ?

つまりDAOとは、「決裁承認・動機づけ・管理を機械化によって不要にする仕組み」のことを指します。これを、皆さんが働いている組織の中で置き換えると、「管理職のDX」という言語になるでしょう。
組織の中で、人が必要ない場所にあえて人を置き続けると、やがて「その仕事には人がいらないよね」「それはスマコンでいいのではないか」ということが起こる可能性があります。しかしそうなると、「その人の仕事をなくしていいのか」という別の議論が発生するので、現在のコーポレーション自体がそのまますぐDAOになることはありません。
「このままの仕組みだと上手く機能しない」「効率が悪い」「もっと民主的にやりたい」となったときに、一部DAOの運用をしていくチーム組織が会社の中で生まれてくるのではないかと考えています。
WEB 3やDAOで私たちの働き方はどう変わるのか
本セミナーでお伝えしたいことは、儲かるか否かではなく、「価値観」としてWeb3を捉える=Web3マインドです。
急激にテクノロジーが世界を変化させていく中で、自分はどういう心持ちでいればいいのかという心のポジションを自分なりに掴むことがWeb3マインドですが、今回のセミナーではこの感化的なマインドを皆さんとシェアできればと考えています。

WEB3はWEB2に取って代わるものではなくオルタナティブなもの

この記事を読まれている人の中には、「Web3は、Web2ではできなかったことがどんどんできるようになり、近いうちにWeb2を駆逐するようになる」「Web3はWeb2に取って代わるようになる」とお考えの人もいるでしょう。
しかしそうではなく、「Web3はオルタナティブなもの」だと私たちは考えています。
オルタナティブとは、現在あるものの代わりに選び得る新しい選択肢や代替案のことです。
具体的な例は

  • オルタナティブ・テクノロジー:1960年代の公害問題やオイルショックをきっかけに、石油のかわりとして太陽光や風力を利用した再生可能エネルギーの活用技術
  • オルタナティブ・ミュージック:商業的に主流の音楽とは一線を画す音楽ジャンル

この例を見てもわかるように、オルタナティブとしてこれらが増えただけであって、メインは今でも天然ガスや原油、今までと同じ主流の音楽なのです。
つまり、通貨が全て暗号資産になるわけではなく、株式会社が全てDAOになるわけでもありません。「現在あるものの代わりに選び得る新しい選択肢」としてWeb3があるので、その可能性を知り、その中で自分は「どう選択するか」を主体的に(自己責任で)決定することが大事だと言えます。

主体的(自己責任)でいなければいけない例)AXIE INFINITY

Axie Infinity(アクシーインフィニティ)は、モンスターを集めて売ったり、買ったり、育てたりして遊びながらお金を稼げる「Play to Earn」の一つで、特にフィリピンで人気のNFTゲームです。

Axie Infinity は、2021年5月の段階では2時間で最高3,700円稼ぐことが可能でしたが、2022年頭には2時間100円以下まで下がり、ゲーマーたちに大きなダメージを与えました。
このときに、「だからPlay to Earnはダメ」「こんなことをやること自体がダメ」という考えになりがちですが、これをWeb3マインドで捉えると違った見方ができます。
2022年現在のフィリピンの平均日給は約484円ですが、このゲームを利用することでフィリピンの人が1時間で約300円程稼ぐことが可能となるので、今までのローカルな仕事では稼げなかったやり方であり、オルタナティブ(新たな選択肢)としてこのPlay to Earnがあったことは事実だと思います。
この例でもう一つわかることは、どこの国に住んでいて、どういうポジションにいるかによって、オルタナティブの考え方が少し変わることです。ここがPlay to Earnの現在地点だと思います。

DAOを実験的に使う=社内の有志活動

(評価・報酬システムがすでにある)既存の会社組織の中でDAOを運用するとしたら、社内の有志活動がDAOの実験場として有効なのではないかと考えます。
具体的な運用方法は、実際のETHと連動しない、換金性のないトークンを用いたDAOを使用し、その中でタスクが設定され、タスク完了に貢献したメンバーにリワードがトークンで支払われるというものです。
例)
メンバーから「こういうタスクを実施したら100monjuほしい」という起案がされる

トークン保持者による投票により上記起案がOKとなる

タスク完了時に自動的に(スマートコントラクト下において)トークンが発行される
※社内の原資とトークンをくっつけることでの運用も可能か。
これにより

  • 意思決定レポーティングラインがなくても物事が決定できる
  • 貢献具合が可視化される(透明性)
  • 「肩書きが偉い人」ではなく「貢献している人」が意思決定の主体的当事者となる

つまり、貢献者がそのコミュニティを「どういう方向にもっていくのか」意思決定ができるようになることが、このDAOの仕組みです。

WEB3が完全正解ではないがDAOが与えるインパクトに着目しよう

Web3における個人の働き方は、組織ベースではなくプロジェクトベースになっていき、その主体はDAOになります。DAOは会社組織ではなく、プロジェクトごとに立ち上げられるので、個人は、自分が興味をもち、貢献できそうなDAOを見つけるごとに「参加する」という形で働いていくことになります。
例えば、地球温暖化などの社会課題を解決するDAOが存在しますが、そこで、それぞれが自分のデバイスを家の近くに持っていて微妙な変化をデバイス上で記録することができれば、世界気候を調査するような組織が中央集権的に調査せずとも、みんなが分散的に持っているデバイスのデータを集積すれば世の中の起きていることがわかるようになります。デバイスを置いてデータをプラットフォーム上に提供し、貢献をすることによってトークンが貰える仕組みになっているのです。
重要なことは、「地球温暖化を解決したい」や「問題解決をしていきたい」といった人間の興味・関心・意志が前提にあることです。「これをやると何トークンが貰える」という考え方は本来的なWeb3の考え方ではありません。「儲かりそうだからそのDAOに入る」のではなく、「興味があって貢献したい」ことが重要です。

DAOで株主・経営者・従業員の構図が崩れる

DAOのもとでは、今まで常識であった社会の構図が変化します。

  • 「面倒で難しいことを担う経営者」「その経営者のもとで仕事をする従業員」というヒエラルキーが存在しない
  • 「株主・経営者・社員・契約社員・アルバイト」という構図が存在しない

つまり、今までの仕事というものは、上から降りてくるミッションやタスクに対して応えて、その対価としてお金がもらえるものでしたが、DAOでは上意下達型ではなく、何事もメンバー全員参加のもとで直接民主主義的に決められます。

WEB3が完全なる正解ではない

最近では、自分が役に立てるところや自分の興味があるところを見つけて働く「パラレルキャリア」が浸透しつつありますが、今後DAOを利用するにあたって、DAOだけでお金が稼げるのか不安になる人も多いでしょう。「投機的な仮想通貨だと変動性が高いので安定収入にならない」と思うことは当然なので、全ての仕事をDAOに移行すべきだとは言いません。
資本主義の中で働いた労働報酬と金融としての収入、そこに加えてDAOで参加してトークンをゲットするという3つ目のオルタナティブな稼ぎ方や働き方が出てくるのが現在地点だと考えられます。

参加者からのアンケート結果

上記を選んだ理由については

  • DAO自身の理解が薄く、現在、新たな知識、考え方を理解する事ができたため。 小規模組織または小規模からはじめ大規模になった組織では適用しやすいが、初めから母体が大きい組織には適用が難しいように感じた。
  • DAOに関連する動画をいろいろ見てもいまいち違いが正確に理解できなかったのですが、原理主義DAO(スマートコントラクトじゃないとDAOじゃない)と自由主義DAO(スマコンじゃなくていい)の整理がとてもわかりやすかったためです。
  • 大切な思想の部分を前提理解でき、その上でどのような設計になっているのかの全体像が知れたのは非常にわかりやすかったです!

上記を選んだ理由については

    • 社内でDAO的な発想やアイデアを出してくる人、考え方に賛同する人が明らかに増えてきています。今日のお話にあったようにすべてがWeb3に置き換わることはないけれど、どのように活用するのが最適なのか、現状の組織の仕組みと共存する(可能なら相乗効果が出る)未来像を描いてその価値について議論できる状態にする必要を感じています。
    • 新しい意見や提言、トップにとっての讒言はなかなか届かないように感じています。Web3的なプロジェクトで導き出された結論であれば、会社も聞き入れられる(感情的にも)のではないかと考えるからです。
    • いますぐ何かが出来るわけではないが(個人事業主だし)、中長期で取り組むべきと感じる。

まとめ

ここまでWeb3やDAOが私たちの働き方に与える影響について紹介しましたが、以下の3つが重要なポイントとなります。

      • Web3はWeb2に取って代わるものではなくオルタナティブなもの
      • DAOによって株主・経営者・従業員などの組織の構図が変化する
      • 全てをDAOに移行するのではなく、オルタナティブな働き方を加えるのが現在地点

最後に、働きごこち研究所ニュースレターおよび文殊の知恵が発行するウィズダム・レポートは皆さんから感想をいただくことによってアップデートしています。今後も「レポートを書いて終わり」ではなく、皆さんとの意見交換で得られたことをニュースレターで書いていきたいと思っています。
ご参加いただきありがとうございました!

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