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有志活動は「ガス抜きのゆるいつながり」だけではない。経営陣とともに変革を巻き起こすために

2022年10月11日、文殊の知恵と働きごこち研究所の共同開催で、「有志活動」をテーマにONE JAPANの共同発起人・共同代表である濱松 誠氏をゲストに迎えたセミナーを開催いたしました。

ONEJAPAN 共同発起人・共同代表 濱松 誠さん
https://onejapan.jp/

株式会社働きごこち研究所、株式会社文殊の知恵 代表取締役 藤野貴教
https://www.hatarakigokochi.jp/about/

今回のセミナーでは、大企業の若手中堅社員の実践コミュニティであるONE JAPANに所属する方々が抱える有志活動についての葛藤や問題意識を取り上げました。有志活動にできることや同志の増やし方、企業と一緒に成長していくコツについても解説しています。

以下は、当日、濱松さんと藤野が語った内容をライターが再編集してお届けします。

有志活動や変革は一人でやらずにキーパーソンを巻き込まなければ成功しない
有志活動で「大企業病」は克服できるのか?
 有志活動に外科的治療はできないが内科的治療は可能
 内科的治療だけでも良しとして自己効力感を高めることが重要
有志活動は「野党化=不満の受け皿」にならなければ増えないのか?
有志団体は世代交代ではなく「世代拡大」が必要
 有志活動が経営陣から「お子さま活動」だと思われないためには
「有志活動ならでは」ではなく企業と一緒にストーリーを描くことが重要
 有志団体が貢献できる「お品書き」を出して経営陣の興味関心を探る
参加者からのアンケート結果
まとめ

有志活動や変革は一人でやらずにキーパーソンを巻き込まなければ成功しない

ONEJAPANが1社単体ではなく、たくさん集まっているのはなぜかと言うと、1人だけでやるとエネルギー切れになることが理由の一つとして挙げられます。そのため仲間をつくり、横のつながりをつくることが重要です。そして、そのうち仲間の数が増えていくと、その組織は「公式っぽい」団体になっていき影響力を持ち始めます。これは社内での改革においても非常に重要な焦点です。

もしも1人で社内の変革を行おうとした場合、恐らくそれは実現しません。変革をするには上にいる人間(キーパーソン)を巻き込まなければ、ただの「ナイーブな青年の主張」になってしまいます。また、上司に対しては“理”と“情”をしっかりと巻き込んだ形で動くことが鉄則です。

有志活動で「大企業病」は克服できるのか?

「うちの会社はチャレンジしろと言うのに失敗すると責められる」「評価にならないことはやろうとしない」などの、いわゆる「大企業病」という空気がある企業は今でも多いですが、これを知っているか知らないかで有志活動を継続するためのモチベーションが大きく変わります。

有志活動に外科的治療はできないが内科的治療は可能

大企業病は内科的治療によって克服可能ですが、外科的治療はできないため限定的になります。

この内科的治療というのは企業内カルチャーや個人ベースで行う動きを指し、外科的治療というのは人事制度や評価制度、組織構造のことを指しています。これをマッキンゼーが提唱している「組織の7S」に割り当てると、外科的治療は「ハードの3S」になり、内科的治療は「ソフトの4S」となります。つまり、大企業病に対して一歩目、二歩目はアクションできるし、そこに対する主張もできるということです。

内科的治療だけでも良しとして自己効力感を高めることが重要

本来であれば、内科的治療は人事や中間管理職など企業内でポジションをもつ人間がやらなければいけないにもかかわらず、なかなかそこまでやるのは難しいという背景もあるため、有志活動に期待が寄せられていますし、その課題解決に価値を発揮できることができるのではないかと思っています。

有志活動には外科的治療はできないが内科的治療はできると理解したうえで、企業のトップの人間がやりたくてもできない内科的治療を有志活動で行える事実を認知し、自己効力感を高めることが重要です。

有志活動は「野党化=不満の受け皿」にならなければ増えないのか?

有志活動を行う方の中には、企業に対する不満を言う人たちの受け皿にならないとメンバーが増えないという葛藤を抱えている方も少なくありません。以前は、不満は言うけれども辞めない社員が大半でしたが、最近は「変わらなければ他に行けばいい」と考える人が増えています。

その中で有志活動を行っている方の中には、「辞める前に一回、有志活動に相談してよ!」「会社の愚痴ばかり言う人と飲みに行かずに有志活動と一回飲みに行こうよ!」という想いをもつ方も多いです。ですが、有志活動に参加していない人から見ると「あいつら意識高いよね」「あいつら会社の言うこと聞いているよね」という印象をもたれ、避けられる実情があります。

しかし、結論を言うと、会社を辞めたい人間は辞めても良いのです。大事なことは、染まってしまったり、挑戦や仲間づくりなどの活動を辞めてしまったりしないことだと言えるでしょう。

有志団体は世代交代ではなく「世代拡大」が必要

有志活動のメンバーの「数」だけを増やしたいのであれば(まだ何にも染まっていないフレッシュな)新入社員を口説くことが正攻法ですが、これだとさすがにメンバーがジュニア過ぎて(会社内においては)影響力をもたないという別の問題が発生します。

そこで必要となることは、今後会社を担っていくであろう30代や40代のミドル世代を巻き込む「世代拡大」です。

有志活動が経営陣から「ガス抜き活動」だと思われないためには

有志活動が企業から「ガス抜き活動」だと思われてしまうことに憤りを感じている方は少なくないでしょう。また、なぜ若手や中堅が辞めていくのかという意識や、本当に変えないといけない問題意識を、どうして経営陣と共有できないのかという想いをもつ方も多いです。

この原因は、有志活動がまだまだコミットメント力を持ちきれていないからであると感じています。経営者が考えている既存の概念を覆すほどの影響力や実績がまだまだ足らない。だからこそ、ONEJAPANとして経営者や行政とも繋がりながら、企業変革と社会変革のキードライバーになるための底上げに日々取り組んでいます。

有志活動が、企業のガス抜きや経営のポーズではなく変革のキードライバーになることは可能です。経営に対して「大人」として見られるためには、経営戦略や経営課題をしっかり理解して、自分の言葉で語れるようにしておくことが必要になります。そのための第一歩として、例えば、会社が発表している統合レポートなどに目を通して経営課題を理解し、言語化できるようにしましょう。

一方で、読んでも理解できないという方はリテラシーやスキルの問題なので、もっと勉強する必要があります。仲間たちとともに学び合いましょう。(そういったことに強い仲間を有志活動に巻き込むのも一つの手です。)これは本業の成果にもつながることなので、積極的に行うことをおすすめします。
参考記事:https://monjunochie.co.jp/dl/reports/wisdom_2209.pdf

「有志活動ならでは」ではなく企業と一緒にストーリーを描くことが重要

有志活動を行っている方は「有志活動ならではで、ゼロから始めた企画」にこだわりがちですが、企業が「今やらないといけないことで現場を巻き込みたい、現場に協力してほしい」と思っていることに貢献するような活動はすごく重要です。

ところが、こういった活動をしていると周りには「会社の太鼓持ち」という印象を与えてしまうことになります。そのため、自社の経営課題について提起して有志活動の必要性を訴えるという、しっかりとしたストーリーをわかりやすく描く必要があるのです。

有志団体が貢献できる「お品書き」を出して経営陣の興味関心を探る

有志活動を行ううえで、今やっている伝え方やコミュニケーションが本当に経営者に刺さるのかについても、一度考える必要があるでしょう。同じ内容を伝えていても、Aさんには刺さるがBさんには刺さらないということを経験した方も多いはずです。

有志活動は尊い活動ですが、自ら「この活動は必要でしょ?」と言うと反感を買います。そのため、経営陣に対して「有志活動として貢献したいお品書きが5つありますが、どれが良いですか?」と聞くことが大切です。

ここでのコツは「やっていいですか?」ではなく、「やりますが、どれだったら乗ってくれますか?」という聞き方をすることです。相手の興味関心の優先順位を探りにいくことをダークサイドスキルとも言いますが、企業変革においては特に大事なスキルだと言えます。有志活動がガス抜きに見られる背景には、このダークサイドスキルが足りていないという実情があるのです。
ダークサイドスキルを身につけ、経営陣と一緒に優先順位をつけるところまでできるようになれば、有志活動が大人としてのコミュニケーションになっていきます。

参加者からのアンケート結果

上記を選んだ理由

  • 私は執行役員ですが、経営者への説明の際には事業計画を求められます。有志活動のタスクとして、事業計画をラフでも構わないので取り入れるといいなあと思いました。
  • PJを進めるうえでのヒントをいただけました。熱量を感じるセミナーでした。
  • そもそも有志活動に関する知見があまり無かったため、活動を知るきっかけとなり非常に有意義な時間であった。ただし、当社のような仕事に自由度の少ない労働集約型産業の場合、こうした活動が社員にとって負担になる可能性も含め「一部の社員だけが積極的になる/その他は置いてけぼり(無関心)」という状況をどう回避していくかは考える必要があると感じた。
  • 私自身が代表者として有志活動を行っていく中で、日々悶々としていることについて非常に多くのTipsを得られた会で、あっという間の90分でした。ありがとうございました! 12月に経営陣と有志団体について話す機会があるので、個人的には”経営課題の解決のために「有志活動は何を為すのか」を具体的にドキュメントに落とすべき”をまず実行したいと思いました。 改めて貴重なお話を誠にありがとうございました。

まとめ

企業内を変革する起爆剤になる有志活動ですが、企業組織の中では有効的に働いていないという現状もあります。

有志活動は、それぞれの企業が抱える「大企業病」を治すための内科的治療に携わることが可能です。減点主義である経営陣とは違う目線をもち、加点主義で活動を率いていきましょう。

また、有志活動が「ガス抜き」として見られないためには、戦略資料を読み込み、自分の言葉で言語化できるまでの説得力をもつことが重要です。さらに、経営陣の興味関心を自ら探りにいき「GO」を出させるストーリーを組み立てる、ダークサイドスキルを駆使することも必要です。
これができるようになると、有志活動に対する経営陣の見方もまた変わっていくでしょう。

最後に、働きごこち研究所ニュースレターおよび文殊の知恵が発行するウィズダム・レポートは皆さんから感想をいただくことによってアップデートしています。今後も「レポートを書いて終わり」ではなく、皆さんとの意見交換で得られたことをニュースレターで書いていきたいと思っています。
ご参加いただきありがとうございました!